美しい国

本音のコラム 「小沢は魔性の姫」 藤本由香里

 ここ一週間、「やっぱり小沢は姫だから」「ああ、小沢一郎総受け本が読みたい!」
という思いが脳裏を去来している(これは友人も同じ)。
 ちょっと解説すると、女性向け同人誌には<やおい>と呼ばれる、「男どうしの愛」を
テーマとしたジャンルがある。主に既存のアニメやマンガ作品の男の登場人物どうしの
間に「そういう関係」があるという設定で遊ぶパロディー作品なのだが、ときにこれが実
在の人物を扱う場合もあり、「政界やおい」というのも存在する(少数だが)。そしてなか
でも「小沢一郎」というのは「総受けの姫」として注目される存在なのだ(詳しくは杉浦
由美子著「オタク女子研究」を見よ)。
 ここで「総受け」というのは、自由に<攻・受>として設定される、つまりチーム全員
あるいは敵チームからも言い寄られ、ときに嫉妬される存在のこと。かくして同好の士の
間では、政局を見ながら「あ〜あ、姫ってばまたジラしちゃって」「いったん突き放して
おいてすねてまた受け入れる。さすが魔性の姫ね」などという会話がなされることになる。
 いや、もちろん、重大な政局に何を不謹慎な、とか、そんなことで何がわかる!という
謗りはありましょうが……このところのあきれるような展開、そんな妄想でもしないと
バカバカしくてやってられないじゃないですか、ねえ。

2007年11月11日東京新聞
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